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カント2019/12/01 14:07

「カント先生の散歩」(竹内紀著)を読んだ。カントという人間のほんの一端がわかって面白かった。この人哲学者だけあって、社会のこと人生のこと、そして世界のことなどをしっかり見つめていた。政治についても同じで、その本質を見抜いていたようだ。二百年以上前、日本の江戸時代に、当時の政治家の本質を見抜いた3箇条を書いている。ちょっと長いですか読んでみてください。面白いですよ。
「その並外れた特徴は、二百年以上も前に生まれたものでありながら、おそろしく現代的だということだ。たとえばカントは「行動派を自称する政治家」について論じているが、実践を誇りつつ彼らが考えていることは「現在支配している権力に寄り添い」、そして「自分の利益を失わない」ことだけ。そのためには国民を犠牲にするのも厭わない。さらに彼らの信条は、つぎの三点にまとめられるという。
1  まず実行、そののちに正当化。   
2  過ちとわかれば責任を転嫁。   
3  ライバル同士を離反させて支配。  
直ちに身近なあの政治家、この政治屋が浮かんでくるだろう。カントは「のんきな夢をみている哲学者」を装いながら、おそろしくリアルに権力者をながめ、その典型をあざやかに書きとめた。いまさらながら知力のものすごさに脱帽せずにいられない。」
今の政治家と比べてどうでしょうか。



エッセイ2019/09/26 12:18

いま、柳谷郁子のエッセイ集「諏訪育ち 〜姫路にて〜」を読んでいる。エッセイとは「形式にとらわれず、個人的観点から物事を論じた散文。」(大辞林)と出ている。まさにこの通りで、作者の思いのまま、感じたこと、おもったことをそのままに書き綴っている。それが読む人の心に触れて、なんとも心地よく、読みかけるとやめられない。次の題はなんだろう、どんな人生の場面が出てくるのだろう・・・次々と楽しみになるのが不思議だ。この作者、県放送大学の講師として出演され、いい話をされていたので一度本を読んで見たくなったものだ。内容は本当に常識的で、それでいて引き込まれる不思議な作家だ。たくさん作品はあるが、Kindle版があまりなかったので下欄の本にした。これからも電子版が出れば是非読んで見たいと思う。




季節2019/02/14 00:45

七十二侯では立春から早も第三侯に入ります。

「 魚上氷  うおこおりをいずる」

二十四節季→立春から     季節はまだ初春


    つやつやと梅ちる夜の瓦かな     栗田樗道



読書2019/01/24 13:22

朝井まかての小説「雲上雲下」は日本の民話を基に、壮大な天(神の世界)と地上の物語を民話風に書き下ろしている。民話の世界に引き込まれとても面白い。登場人物(人間、妖怪、動物、草等)の設定が入り組んでいるがそれぞれ活躍する場があって、結局は現世を俯瞰し痛烈な皮肉にもなっているように思われる。次は少し硬い本を読むのもいいのではと思い「天災から日本史を読みなおす」(磯田道史著)買った(Kindle版)。とても面白そうだ。





難解語句2019/01/17 12:31

漢学等の素養のないわたしには本を読んでいるとわからない音葉がよく出てきます。それはそれで調べるのも一つの楽しみ、勉強にはなるのですが。自分の力の無さも意識してしまいます。最近では次のような言葉が出てきて意味がよくわからなかったものです。辞書にも出ていなかったりして・・・。

・きゅうびのきつね【九尾の狐】尾の九つある狐。 

    ①中国の古伝説で、太平の世に出るというめでたい獣。

    ②体毛が金色の老狐。妖狐とされる。金毛九尾の狐。

・むみょうぢょうや【無明長夜】無明にとらわれて、真理に目覚

    めがたいことを、長い夜にたとえた語。「━の夢を驚かして/

     太平記15」  

・無明→むみょう【無明】〘仏〙真理に暗いこと。根源的な無  

    知。人間などのもつ欲望や執着心などの諸煩悩の根本にあるも

    の。十二因縁の第一。また、天台でいう三惑の一。


大辞林  旺文社漢字辞典より


初読書の日2019/01/03 15:51

正月3日、孫たち自分の家に帰って行った。静かになった 。いつも二人で暮らしていると、3人増えるだけでもギクシャクする。お互い気を使っているのかなあ。

静かになったということで3日は初読書の日としよう。またまた朝井まかてに帰ってきた。この作者が、日本の各地の民話を実際に聞いて廻り、そこに新しい命を吹き込んだ短編集らしい。本の題名は「雲上雲下」(うんじょううんげ)だ。今からが楽しみ。

孫も帰ったことだし、珈琲店へ初出勤。熱い珈琲美味かった。





2019/01/01 00:17

下の本は、牧水の和歌を中心に、その恋と生涯を描いていて面白かった。酒に溺れる牧水が描かれています。いろいろな言葉が出てきて辞書が大忙しでした。



きだみのる2018/10/29 13:08

読書の秋だ。「漂流怪人 きだみのる」(嵐山光三郎著 小学館book)を読んだ。とんでもない怪人だ。後書きから抜粋してみる。

「きだみのるは 、自由を追い求める漂流の小説家である。

社会学者であり 、海の冒険 、女性との恋 、古代ギリシャ哲学者の饗宴を愛し 、獰猛な舌で食べまくり 、ひきしまった明晰な文章 。官能の閃きと 、人並みはずれた腕力と意志で人間の正体をさぐった 。自由の代償は死 、という諦観がある 。文壇の外にいて 、親しくつきあった小説家は開高健と檀一雄 。規格はずれの怪人物である 。」

嵐山の描く「どんきだみのる」の波乱万丈の人生は爽快痛快で面白かった。人間を見る目は正確で深く考えさせられことも多かった。自分の娘「ミミ」(女の子・小学校5年生まで不就学)くんを連れての放浪の旅。この子のことは後に、この子をあずかった三好京三が「子育てごっこ」の小説を書きベストセラーになった。終章においてこのベストセラー真相も明らかにしていて読み応えがあった。



どうせ死ぬんだから2018/10/21 13:17

内館牧子の小説に「すぐ死ぬんだから」という小説があるそうだ。その冒頭に次のような言葉が出てくるらしい。

「年をとれば誰でも退化する

・鈍くなる

・緩くなる

・くどくなる

・愚痴になる

・淋しがる

・同情を引きたがる

・ケチになる

・どうせ「死ぬんだから」となる

・そのくせ「好奇心強くて生涯現役」だと言いたがる

・身なりにかまわなくなる。なのに「若い」と言われたがる

・孫自慢・病気自慢に元気自慢

これが世の爺さん、婆さんの現実だ」

ここまで言われると「うんうん」と言わざるを得ないか。爺さん婆さん、こういう風にならないようにしたいものだ。

でもそう、そんなに気にしないで、ありままに生きるのが一番ですよね。



文藝春秋2018/10/12 00:14

文藝春秋11月号がきた。ご存知、分厚い雑誌ですが私の読むところはそんなたくさん無い。が、楽しみにしている。読む順番を決めている。

1 蓋棺録

このコラム、亡くなった著名人のその生涯の概略が逆境の時代も含めてよくまとめられていて、その人を思い出すのにとてもいい。今回は、ちびまる子ちゃんのさくらももこ、アベノミクスに反対を唱え続けた経済学者の石弘光、それに、琵琶奏者上原まりの3人を読んだ。

2  人声天語  この欄は坪内祐三が執筆している。今回は「大露羅(オーロラ)をけっして忘れない」だ。ロシア出身で小錦を超える巨漢力士が最近までいた。北の湖の付け人、真面目で礼儀正しい力士だったそうだ。北の湖の定年まで頑張ると言っていたらしい。そこで定年の年に角界を去った。